水底のうたかた

たまさかのお喋り

2016-01-01から1年間の記事一覧

としのせ、しのとし

川端康成『雪国』に関するブログを書いて以降、どんどん記事を書くぞ、と意気込んだものの、結局何も書かず仕舞いで年の瀬となりました。まずは恒例の今年の読書ベスト10を。以下、順不同です。 荒川洋治詩集(思潮社) 荒川洋治 これをはじめて読んだ時、自…

燃える薪を拾う、火から―川端康成『雪国』の基礎的技術の読解―

国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。夜の底が白くなった。信号所に汽車が止まった。 向かい側の座席から娘が立って来て、島村の前のガラス窓を落とした。雪の冷気が流れこんだ。娘は窓いっぱいに乗り出して、遠くへ叫ぶように、 「駅長さあん、駅長…